絵本専門士の制度が始まってから10年が経ちました。
コロナ禍を経て、社会も大きく変化するなか、
絵本専門士の置かれている状況も変わりつつあります。
今回は、多様な現場で活動を続けている
7人の絵本専門士の皆さんにお集まりいただき、
直面する課題と今後の展望について話し合いました。

さまざまな分野で活躍! 絵本専門士の皆さん
編集部 本日は全国各地からオンラインでお集まりいただきありがとうございます。資格を取得する以前から絵本と関わる活動をされていらっしゃる皆さんですが、絵本専門士制度が始まってからのこの10年の変化について教えてください。
広辺 絵本作家さんが絵本に関するイベントを書店で開催される機会が本当に増えましたよね。それに合わせておはなし会をする書店の数も増えてきた。おはなし会=図書館だけの事業ではなくなり始めているところは大きな変化だと思います。
洞本 活動の場所は以前より広がった気がしますね。大人の女性向けに絵本の紹介を、ということでBARが開催場所だったこともあります。
野田 私もカフェや神社など公共施設以外の場所で開催した経験があります。以前は未就学児の親子向けが中心でしたが、現在は、妊婦さんやその家族、大人など対象の広がりを感じています。オンラインでの要望もいただくことが増えました。
石坂 子どもの年齢も変わってきましたよ。平日のおはなし会に来る子の年齢はどんどん低年齢化しています。この10年で女性の社会進出や育休後の職場復帰が当たり前の社会になったからだと思います。子育て専業の期間が育休中のほんの1年〜1年半なので、連れて来られる子どもは0〜1歳児ばかりです。
菅 私も低年齢化は感じますね。そのこともあってか、ゆっくりじっくり読み聞かせをする機会が減り、長いおはなしを読み聞かせる場が減ったように感じます。
岸 読み聞かせの環境は、コロナ禍を挟んで大きく変わったと思います。
私の周りの学校では、外部から入るボランティアによる朝読みの回数が減り、絵本を教室のモニターに映し出して読むことを推奨し始めた学校が多くあります。自粛期間で読み手が離れたことで、読み聞かせの方法を伝達する機会が減ってしまい、読み手の高齢化も重なって、10年前と比べると読み聞かせ会の参加者が減っているという声も届きますね。一方で親子の気持ちに寄り添ったクオリティの高い絵本の読み聞かせの会は、今でも多くの人が集ってきます。絵本の楽しさや、もっと絵本を読もうと思ってもらえるような場を意識的に作っていくことが10年前よりも重要だと感じています。
編集部 確かにコロナ禍を経たこの10年は社会環境の変化も大きかったですよね。では、絵本専門士という立場については何か変化を感じることはありますか?
絵本専門士の現在地。まだ伝わりきらない専門性

広辺 絵本専門士へ至る手段に認定絵本士養成講座が加わるなど門戸が広がったこともあり、この10年で認定者の数は増え知名度は上がりましたね。一方で、絵本専門士が「何をする人」なのかが曖昧になっているように感じるなぁ。
洞本 確かに知名度は確実に上がってきていますよね。ただ認知度はまだ低いと思います。
内田 結局のところ、絵本業界の中では広がっているけれど、興味のない方にはまだまだ知ってもらうことができていないですよね。
石坂 私も認知はまだまだ低いと思います。絵本専門士って結局何ができる人?、絵本なんてボランティアが好きで読んでいるんでしょう?という世間の認識が未だに多いと感じますね。ただ、この10年で、絵本文化推進協会を経由した絵本を広げるためのいろいろな場所でのお話し会や、絵本作家さんとの合同イベントなど、個人では決してできないことが安定して継続的に行われることになったのは大きいと思います。私個人としては、資格を取る以前からお世話になってきた地元の図書館や子育て支援センターから「絵本専門士」として講演や講座など有償の仕事依頼が来るようになりました。資格の有無は大きいと感じますね。
菅 私も、子どもたちへのおはなし会や、大人を対象とした読書推進の講座など絵本専門士としての依頼はこの10年で着実に増えました。ただ「認定絵本士」と同じだと考えられていることもあり「絵本の資格」とひとくくりにされている感じはします。
広辺 僕も絵本専門士が絵本に関する他の民間資格に埋没してしまうのではないか、という漠然とした危機感を持っているんですよ。
岸 わかります。認知度の低さと繋がると思いますが、SNSの普及でたくさんの方々が発信することで絵本専門士の知名度は高まったけれど、その価値に対する評価はまだ低いというか、適正に評価されていないと感じることは多いです。
洞本 「読み聞かせはボランティアがするもの」という固定概念はなかなか払拭できないですよね。
野田 絵本講座に興味を示してくださった企業さんでもボランティア前提。交通費も自己負担でと言われたこともあります。特に子育て支援の活動は無償提供がフォーマットになっているので、そこは改善していきたいところです。
編集部 なるほど。絵本専門士に対する価値については、広辺さんのお言葉を借りると「絵本専門士が何をする人なのか曖昧」であるがゆえに正しく評価されていない、ということなのでしょうか。そこで、改めて皆さんにお伺いしたいのですが「絵本専門士」とはどんな人だとお考えですか?
絵本専門士とは、どんな人?
広辺 僕が思うのは、絵本に対してある程度の知識を持っていて、絵本が好きで、その好きな気持ちを誰かに伝えないとやっていられない人が絵本専門士になるんだと思うんです。
内田 うんうん(笑)。僕が講演会などで話す時は「絵本専門士はいろんな職業や世代、地域の人がいて、そのいろんな人たちが寄ってたかって絵本の世界を広げていこうとしている人たち」と言っています。絵本の世界とは何か、どうやったら広がるのかというのは人それぞれですね。
洞本 僕のスタンスも内田先生と同じですが、絵本専門士は絵本の世界を広げるために、最低限必要なことを学んだ人たちという言い方をしています。例えば、パパとタクシードライバーの運転と何が違うねん、と。運転しても良いという許可をもらっただけの人なのか、それにプラスして人を乗せて運転する時の注意点をしっかり学んでいる人なのか。そこの違いだろうなと。主婦の方と料理人の違いもそうですよね。資格というものは、その分野のことをきっちりと学んだ人たちが持つものですからね。
野田 本当にそうですよね。私は、人と絵本を繋ぐ人が絵本専門士だと思っています。ただ、それだけだと単純に「読み聞かせをしている人」と認知されてしまうことが多いので、絵本専門士は、しっかりと学んで、知識と経験があることを伝えるようにしています。
石坂 私は絵本専門士のいちばんおもしろいところは、いろんなフィールドを持った人たちが集まっているところだと思っているんです。同じ絵本専門士でありながら、自分とは全く視点が違ったり、思いもよらない関わり方や知識、そして経験を持っている人がいます。子育て支援の仕事をしていると、発達の気になるお子さんと出会うこともあり、絵本でどう支援ができるか迷う時は、保育士の内田さんや療育の分野で仕事をしている同期の仲間に相談をして、私には足りない専門的な助言をいただいています。そんなふうに自分も新たな学びや経験を増やしていくことができるのは絵本専門士ならではだと思うんですよね。結果として「幅広い視野を持って、状況に応じて必要とする人に必要とされる絵本を繋ぐことができるのが絵本専門士」だと私は思っています。
岸 私は絵本専門士はどんな人なのか、具体的に考えてこなかったかもしれません。絵本専門士という資格については、「絵本に関する高度な知識と読み聞かせなどの高い技術を持つ」という国立青少年機構の文言をそのまま説明しています。それに加えて、文科省の独立行政法人が行なっていて、絵本を広めたいという気持ちを持っている人たちが全国各地から集まって一流の講師陣の元で学び、取得後は様々なフィールドで活動していると説明することはあるのですが、絵本専門士は個々で活動しているのでどんなことをする人なのか一言で表すには実態が実はよくわからなくて…。私自身は子どもの育ちに絵本は絶対に必要だと思っているんですね。ですから、絵本専門士は、子どもの育ちを大切に考えている人だと思っています。
編集部 なるほど。それぞれのお立場によって絵本専門士像は異なりますが、皆さんの中心にある想いは同じような感じがしますね。絵本専門士全体で見ても、皆さんがおっしゃったような想いは共通認識としてあるのでしょうか。
洞本 想いとしてはあると思いたいのですが、困ったことに、認定者の人数が増えたことで、資格保持をひけらかす方が出てこられたという話もあるんです。ベテランの書店員や図書館司書の方との軋轢が生まれている事例を耳にすることがあります。
広辺 僕は考え方や、やり方に違いがでるのは良いと思っているんです。そもそもベースが違うんだし。でも、洞本さんのおっしゃったような「勘違いする人」が出てきたような気は僕もしています。資格の有無や知識の量で絵本に関する熱量を判断したり、他者を貶めるために絵本専門士という資格があるわけではないと強く訴えたいところです。
石坂 わかります。
編集部 絵本専門士として活動する時の、基本的な理念の共有は定期的に必要なのかもしれませんね。
絵本専門士の2大問題 その① マネタイズ
洞本 すいません、ちょっといいですか? 先ほど岸さんが絵本専門士の資格の説明をする際に「文科省」という言葉を使われたと思うのですが、私も意識的に使っているんです。絵本専門士制度は国立青少年教育振興機構が行なっており、これは文部科学省の外郭団体です、と。文科省がやっているということは、国を挙げて絵本を広めようとしているということ。今、日本は漫画、アニメに続く3本目の柱として日本の絵本を海外に持って行こうとしています。もともと資源のない日本では、知的財産を商売にしていかなければならないという流れがある。僕は絵本専門士は、いずれ国家資格になると思っているんです。
編集部 洞本さんは、絵本専門士の活動を広げるためには、行政との連携が重要だとおしゃっていましたね。
洞本 そうなんです。仕事柄、行政との繋がりがあるので、ブックスタートや絵本に関するイベントの際には必ず絵本専門士も参加させてもらうように働きかけています。最終的には、行政の皆さんが選んだ絵本を絵本専門士が確認して太鼓判を押す。そんな「絵本専門士の認定」が仕事となれば、マネタイズの問題も少しは解消できるかなと思っているんです。
編集部 絵本専門士はボランティア前提という話が出ていましたね。事前アンケートの中でも、今後の課題として、皆さん挙げてくださったのが活動費の捻出でした。
岸 活動資金の確保は大きな課題だと感じています。こどもゆめ基金などの助成金も使っていますが、基本的に当日の事業費のみしか認められないため、そこにかかる準備期間やその後の報告書のまとめなどもすべて無償で時間を捻出することになっているのが現状…。本業を休んで活動することが難しくなってしまうんですよね。もっと絵本専門士の価値を評価してくれるステージが整うと良いのですが。
野田 私は、絵本専門士養成講座のの学びが、局のアナウンサーという働き方を辞め「絵本アナウンサー」として独立する大きなきっかけにな
野田 私は、絵本専門士養成講座のの学びが、局のアナウンサーという働き方を辞め「絵本アナウンサー」として独立する大きなきっかけになりました。
そして退職後は、大学院で初等教育について学び直しました。
絵本の専門家として、インプットとアウトプットを繰り返しながら成長する環境を整えたいのですが、マネタイズできていないのが現状…。
絵本に関する活動は持続可能ではないのかと不安になることもあります。
石坂 私も、有償無償に関わらず、とにかく魅力的なおはなし会や講座をしようと、あらゆる提案を懲りずに出し続けて実践することを繰り返してきて、その積み重ねでようやく少しずつ「絵本専門士」として有償の依頼がくるようになりましたが、資格を取得してから3年以上もかかりましたね。
野田 どうやったら絵本専門士としての活動を本職にできるのか、現在模索中で、絵本に関することは、どんどん挑戦しています。
直近では、「絵本のある子育てを」という想いから、家庭用の本棚をプロデュースしました。
今夏から、愛知県北設楽郡設楽町のふるさと納税で販売される予定です。
肩書きは「絵本アナウンサー」ですが「絵本のなんでも屋」ですね(笑)。
編集部 皆さん、マネタイズ問題で試行錯誤されていらっしゃいますが、実は内田さんは事前アンケートでマネタイズ問題も含めて「今困っていることはない」とお答えていただいているんです。
内田さん、なにか良いアイディアがあったりするのでしょうか?
内田 いやいや(笑)。
それは単純に立場の違いだと思います。
僕は絵本専門士でご飯を食べているわけではないですから。
困ったことがないというのは、僕の場合は、気の持ちようなんですよね。
僕は、スケジュールさえ空いていたらどこへでも行くし、なんでもするという気持ちで活動していて、いつかは繋がってくるかなと思っていたら、実際にいろんなところから声をかけてもらえるようになったり、お金を頂戴できたり、そういうことがだんだん後からついてきました。
とはいえ、僕も活動費の捻出は大きな課題ではありますよ。
でも、長く続けてきて実感することは、採算度外視の活動は後から成功がついてくるということです。
現役保育士×絵本専門士として草の根活動を続けていくと、どんな未来が待っているのかわかりませんが…(笑)。
絵本専門士の2大問題 その② 著作権使用料と申請

岸 私の場合は完全に個人で行なっているので、絵本専門士の活動そのものが自分の生活に関わってくるんです。
活動を続けるために謝金をいただくのですが、そうすると、使いたい本に申請が必要で著作使用料金もかかってきます。
読み聞かせの会では何冊も絵本を使うので、使用料金に消えてしまうんですよね。
仕方なく、紹介本を減らす選択をしなくてはならない場面が多々あり…。
もちろん、想いに賛同してくださって無料で良いですよと言ってくださる出版社さんもたくさんあります。
ただ、申請も一冊ごとに全て必要でその方法も様々。
同じ版元でも担当者が違ったりするので、その作業だけでも大変です。
編集部 ボランティア活動だと思われがちな読み聞かせに、お金と時間がかかっているわけですね。
岸 絵本の良さを知っていただき、作品が売れるためには、絵本専門士が読んでご紹介するのが一番だと感じているのに、それが思うようにできないもどかしさがあります。
もちろん、著作権を守っていくことはとても大切なのですが、その一方で子育て支援を熱心にしている絵本専門士が著作権使用料を支払わなくてはならず、マネタイズとのバランスも考えるといつも悩まされています。
絵本文化推進協会事務局長 著作権についてはおっしゃる通りで、事務局の立場としては心苦しいばかりです。
実は5、6年前も絵本専門士の皆さんからそういうお話をいただいたので、100冊ほど絵本を選んでいただき協会がまとめて20〜30社ほどの出版社に1年間の使用申請を依頼したことがありました。
ただこれには問題もあって、100冊の許諾をいただいても実際に使用した絵本が20冊程度となると難しいところがあり、その取り組みは2〜3年で終わってしまいました。
出版社の立場からいうと、やはり作家さんを守る権利なので純粋に著作権に乗っ取ってやっているだけのことなのかなと思いますが、なかなか辛いところですよね。
広辺 おそらく、絵本専門士ではなく主催者側が著作申請を行うようになるのが正常だと思うんですよね。
石坂 私はそうしていますよ。
こちらで先に読む絵本をリストアップして著作申請はお任せしています。
すごく良心的にやってくださるので助かっています。
広辺 それが当たり前になっていないところが問題ですよね。
絵本を読むことはお金がかかること、という事実を主催者側に認識してもらわないと。
読み聞かせはタダだと思われていては困るんです。
岸 確かに、主催者側がやってくださるならとても助かりますね。
他には、例えば「絵本専門士」の活動報告書を提出し、絵本業界発展のために信頼性を確保できていると認定された人は、著作申請をせずに(常識的な読み聞かせの範囲で)自由に使用できるなどの制度があれば絵本に興味のある方々にもっと作品をご紹介できると思うんですよね。
実際に、読み聞かせ会後のアンケートでは「今日ご紹介の絵本は全部買います!」というお答えが多く寄せられるので。
そんな仕組みが今後できたらと思っています。
編集部 絵本専門士の価値や活動における評価とも繋がるお話ですね。
学び直しの必要性と横の繋がりの重要性

岸 先日の絵本専門士10周年の記念行事で集まった絵本専門士の皆さんのエネルギーが高く、大きな刺激を受けました。
各地で積極的に活動している様子も教えていただき参考になった企画がたくさんあってとても充実しました。
このような機会はなかなかできないと思いますが、広報誌やホームページなどで定期的にみなさんの活動を知ることができると良いですよね。
石坂 そう思います。
期や職種を越えて他の方々の活動状況を知り、お互いにブラッシュアップできるといいですよね。
自分との違いを知ることは、自分自身の振り返りにもなりますし、絵本専門士の強みである横の繋がりをもっと広げていきたいです。
内田 この10年で、内容も絵も版型も多岐にわたる絵本が出版されていて、絵本の読み方や楽しみ方もたくさん生まれていると思うんですよね。
そういったものを学び直せるといいなと思います。
石坂 読み方もそうですし、資格取得後も絵本専門士として学び続けている人もいれば、そうでない人もいるのではないでしょうか。
取得後の継続的な学びの場があるといいなと思います。
菅 私も絵本専門士としてリカレント教育(学び直し)を受けたいと思っています。
絵本専門士の活動をして10年になりますが、当時とは読書環境も社会状況も変化しており、特に、電子タブレットを使っての絵本読書のことや、インターネットの利用、発信する際の注意事項などは、絵本専門士として知っておかなければならないことがあると思うんですよね。
内田 あとは、運転免許でも教員免許でも更新制度というものがあるので、絵本専門士にも必要だと感じます。
それがあったら、先ほど洞本さんや広辺さんがおっしゃっていた「勘違いする人」が出てきたという状況が変わってくるのではないかと。
菅 私も絵本専門士のレベルを保つためにも更新制度は必要だと思います。
というのも、読み聞かせのスキルが充分でない方がいらっしゃることに驚いたことがあって。
おはなし会で声が聞こえにくかったり、絵本の絵が見えないと、その会自体がつまらないものになり、絵本の読み聞かせは楽しくないと思われてしまう恐れがあります。
それを見た司書や一般の方々は絵本専門士に価値を感じないでしょう。
それが他の絵本専門士への評価にも影響してしまうと思うのです。
洞本 一定レベルを保つのはもちろんのこと、個々のスキルアップも必要ですよね。
編集部 野田さんはご自身のことを「絵本のなんでも屋」とおっしゃっていましたが、なんにでも対応できるように何かスキルアップは意識されていますか?
野田 そうですね。
私は、毎月、絵本関係者が集まるオンライン勉強会に参加して学びを深めています。
また、大学院の学びをきっかけに「子どもの教育」という視点でもアンテナをはるようになりました。
新学習指導要領が実施されて約5年が経ち、子どもたちが「生きる力」を身につけるために、絵本専門士としてどうサポートできるのか考えています。
具体的には、子どもが自分の言葉で伝える力を身につけられるよう、音読や朗読など音声表現に関する授業をしています。
ゆくゆくは、絵本専門士アナウンサーでチームを結成して、全国の小学校で絵本を介した音声表現の授業を担うことが目標です。
内田 時代の変化に合わせるというところは重要だと思います。
広辺さんや僕が絵本専門士の授業を受けたのは8年前。
その時も著作権の授業はあったんですよね。
ただ、やっぱり時代と共に状況が変わってきているし、講師の方々も変わっているので新しい話を聞くこともできると思う。
卒業生も再受講できるようなシステムができるといいなぁと思います。
編集部 確かに、現役絵本専門士の方々が1コマずつオンラインで聴講できたりすると、気軽に学び直せるかもしれませんね。
石坂 そうですね。
私も授業で障がい者の方々に向けた絵本の取り組み方について学んだことは初めてで、とても勉強になったので、もう一歩踏み込んで話を聞けたらと思っています。
現在は子育て支援の場で活動しているので、保育と絵本についても勉強したいと日々思うところです。
洞本 絵本専門士として活動してきて今改めて授業を聞かせてもらうと、当時よりも落ち着いて聞けるし、ものすごく学べると思う。
あの時は、D判定をつけられないように必死だったから(笑)。
コロナになってしんどいこともあったけど、わざわざ東京まで行かなくても受講できて、自分の都合の良い時間に観ることができるオンラインの便利なツールを手に入れることができたのだから、今の授業をそのまま見せてくれるだけでも十分価値があると思います。
石坂 あと、大切なのは、学びで得たことをどう自分の中で消化してアウトプットしていくかを考えることだと思います。
編集部 学びをどう活かしていくか、
話し合える場もあるといいですよね。
広辺 周りに絵本専門士はいるけれど、ちょっと掘り下げて話をできる場がないですよね。
岸 私の住む北海道にもメンバーはたくさんいますが、距離的な問題から集まって勉強会や交流会もできません。
なので、結局のところ絵本専門士同士の繋がりで学び合っていくことができにくい状態です。
広辺 僕は絵本専門士同士の学び合いってとても大事だと思っているんです。
僕は同期に保育士のうっちー先生(内田さん)がいたので、知らないスキルを教えてもらえてすごく勉強になったし、今でも良い刺激になっています。
リモートでこういった座談会ができるのだから、絵本専門士の学び合いでもこういう機会が定期的にあればいいなと思いますよね。
誰か講師になって話してくれることがあっても良いし。
編集部 オンラインサロンのようなイメージですか?
広辺 そうですね。
今いらっしゃる皆さんでいうと、書店の経営者、アナウンサー、保育士、図書館司書などなど、それぞれ経験値が違う皆さんが発信する話を聞くというのはすごく刺激になるのではないかと思います。
様々な考え方、発言の中で学び合いながら絵本専門士という資格が社会に対して何を訴えていくのか、一定程度の意志統一を培っていく必要があると思うんですよね。
編集部 個々に得意分野を持つ絵本専門士の皆さんの力をコミュニティに集約すれば、直面する課題の解決にも繋がっていきそうですね!
今回の座談会では、絵本専門士のリアルな現状と課題が見え、今後の絵本専門士制度の改善や絵本文化の発展に向けた具体的なプランにも役立つようなお話を聞くことができました。
「絵本が好き」というシンプルな想いを起点として、あらゆる方向にベクトルが伸びる絵本専門士。
そんな皆さんの繋がりは、思考が深まり視野が広がるこれからの絵本専門士の姿を感じさせるものでした。



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